大判例

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東京地方裁判所 昭和35年(ワ)5578号・昭34年(ワ)2793号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と争点〕原告は昭和三二年一一月三日被告貞子と被告文吉夫妻の媒酌により祝言をなし婚姻予約をした。原告は右予約当時甲斐篤子と婚姻中であつたが、同人との間には東京家庭裁判所において離婚調停進行中(昭和三三年二月一四日離婚の調停成立)で、篤子との離婚成立の上は被告貞子と婚姻する約足の下にみぎ予約をなしたものであり、被告貞子らはその間の諸事情経緯を諒承していたものである。ところが被告貞子らは共謀の上婚姻予約を不当に破棄しようと企て、被告文吉が原告に暴行を加え、このため、原告と被告貞子との婚姻予約は昭和三二年一一月二〇日解消の止むなきに至り、原告はこれにより物質的にも精神的にも甚大な損害をうけたから、これが損害の賠償を求めると主張した。

判決は本件婚姻予約は民法第九〇条に違反し無効であるとして、原告の請求を棄却したが、この点に関し判決の説くところはつぎのとおりである。

〔判決理由〕然しながら法律上婚姻関係にある者が、その離婚手続完了後に婚姻する旨の予約をすることは、その配偶者との合意により事実上離婚状態にある場合のような特別の事実のない限り、一夫一婦制の婚姻道徳に違反するものであつてかかる婚姻予約は民法第九〇条により無効というべきである。そして原告は右特別の事情について何ら主張しない(離婚の調停進行中というのみでは右特別の事情にはあたらない)から、原告が甲斐篤子と未だ法律上婚姻関係にありながら被告貞子と右離婚手続完了後に婚姻する旨の予約をしたからとて、叙上の理由に照らして右予約は無効であり、従つて右予約をなしたことを前提として、被告等に対し右予約破棄の共同不法行為による損害賠償を求める原告の請求は主張自体失当であつて許されない。(田中宗雄 竹田稔 岡崎彰夫)

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